ymatz さんが Science Front の宣伝をしていたので.
Science Front の講演者 @sin_forest と打ち合わせをしてきた.
12 月 7 日, 現代の数学ってこんな世界なのかー! って体験ができますよ.
あとの 2 人は物理の人で, そちらの内容については僕も当日のお楽しみ.
https://sites.google.com/site/0to1sciencecommunication/science-front
発表概要を転載しておこう.
発表概要
「光電子分光法を通して観た”物性物理学”が見据える未来」
物質の性質を研究する分野である物性物理学は,
数 10 年~100 年後の応用 (=人類社会への貢献・還元) を念頭に研究を行っています.
実例を挙げると, 1989 年に論文発表された巨大磁気抵抗効果は, 10 年足らずでハードディスク (HDD) の再生ヘッドに実用化され, HDD の容量を飛躍的に増大させました.現在の人類社会が解決すべき課題の 1 つに, エネルギー問題が挙げられます.
持続可能な社会を実現するためには, 省エネルギー化・クリーンエネルギー源を開発することが急務です.
物性物理学は, そのような革新的なエネルギーシステムを構築可能な材料・物質を探求することを目標とし,
熱電材料, 室温超伝導物質, スピントロニクスデバイス材料, 太陽電池などの開発・研究が日進月歩で進められています.本発表では, 光電子分光法を主な実験手法とする登壇者の立場・研究内容から観た,
物性物理学が見え据える”未来”と”現状”について簡単に話そうと考えています.
未来を変えるかもしれない物質を”実際に手に取って実験できる”という物性実験の魅力を, 少しでもお伝えできれば, と思います.「図形の大域不変量とその局所化ー Spinc 多様体上の Dirac 作用素について」
図形 (空間) について研究する一つの方法に, その大域的な位相不変量を計算する, という方法があります.
例えば球面の上に三角形を書いてその表面を埋め尽くしたとき,
その (頂点の数)-(辺の数) + (面の数) という数を計算すると, その数は必ず 2 になります.
この数は Euler 数と呼ばれる不変量の一種で, 球面を曲げたり潰したりしてもその値が変わらないことから, 位相 (トポロジー的な) 不変量と呼ばれています.1960 年代に指数定理と呼ばれる大定理が証明されました.
これは図形の上のある種の微分作用素から定まる数と,
上のようにトポロジー的に定まる数が一致する, というもので, Euler 数のような位相不変量の研究に (図形の研究に) 解析的な手法が有用であることがはっきりと示されました.私は図形の上のある種の微分作用素を図形の一部に局所化する手法について研究しています.
これによって図形の大域的な不変量の情報がその一部の情報に局所化されるため, 不変量の研究に新たな道が開かれることが期待されます.
今回は図形の不変量の研究について, 古典的な話題から現在行われている様々な研究まで, 私自身の研究も含めてお話しできればと考えています.「新粒子探索ーヒッグス粒子のその先にー」
最近「ヒッグス粒子発見」「ノーベル章はヒッグス粒子」というニュースで話題になった「ヒッグス粒子」.
ヒッグス粒子とは, 物質の最小単位であると考えられている「素粒子」のうちの一つで, ヨーロッパで行われている LHC 実験で発見されました.
では, そのヒッグス粒子はどのようにして発見されたのでしょうか?
またヒッグス粒子を発見したら素粒子物理学は終わりでしょうか?LHC 実験では陽子と陽子を加速して衝突させ, 衝突後に出てくる素粒子の種類やエネルギーを見ています.
これにより, ヒッグス粒子が生成されたのか, 未知の粒子が生成されたのかなどを調べています.また, ヒッグス粒子の発見で素粒子物理学の全てがわかった事にはなりません.
理論的な研究から, 未だ発見されていない「新粒子」が予言されています.
LHC 実験では更なる新粒子の発見に向けた実験と, 多くの理論的な研究が行われています.
新粒子を発見するには闇雲に探すだけではダメで, 多くのゴミとなるような事象から, 新粒子に値する事象を選び抜かなければいけません.これらの「新粒子探索」という素粒子物理学の最先端について, 理論的側面から最新の結果を交えつつお話したいと思います.
物理としては物性理論専攻に相当する研究をしているが, 上記のような殊勝なことなど一度も考えたことがない方の市民だった.
面白そうだし時間があったら行ってみよう.
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